さて、嬰児である主イエスがおられたのは厩舎であったとの話ですが、この話を一聞いたしますと、なんと不衛生な場所にお生まれになったのかと驚くほかありません。けれども細菌学の見地からすると必ずしも不衛生ばかりとは言えない一面が浮かびます。
発酵食品の製造には酵母菌や納豆菌などが欠かせないように、厩舎にもさまざまな常在菌がおり、それらが飼い葉桶の嬰児を温め身体を守っていたかもしれません。とすれば、そのような常在菌の棲家となった藁をたくさん準備したのは、目に見える宝を何も持っていなかった羊飼いたちだということになります。
救い主イエスの身体を温めて母マリアと父ヨセフを人間的な悩みから清めたのは、羊飼いと目に見えない生命の働きだとするならば、何でもかんでも除去し排除することが清潔だとするわたしたち現代人への強烈な一撃となり、いのちの創造主でもある神からの問いかけとなります。
すべての生命から祝福されるクリスマスの出来事。そしてその出来事を待ち望むアドベント。わたしたちも視野を豊かに広げてこの時を過ごしたく存じます。みなさまの新しい一週間に、クリスマスの主の恵みが豊かに臨みますように祈ります。