本日は『旧約聖書』の『ヨナ書』に登場する預言者ヨナのあゆみと、『ルカによる福音書』の「悪霊の頭ベルゼブル論争」でのイエスの受け答えをメッセージとして分かちあいました。預言者ヨナはかつてイスラエルの民を滅ぼした民の暮らす都市ニネベへと、神の救いのメッセージを伝えるため遣わされます。これはヨナにはまったく不本意なことで、ニネベの王や民、すべての家畜が滅びを免れたと知ると希死念慮にとりつかれたかのように「生きているよりも死ぬほうがましだ」と繰り返し神に訴えます。しかし神はそのようなヨナを用いてニネベの民を滅びから救います。神の愛に属する赦しという特性を示しています。またヨナにしても散々死を口にしてはいるものの、悪霊にとりつかれた人物としては一切描かれません。
『ルカによる福音書』の今朝の箇所では、イエスが口を利けない人から「悪霊」を追い払い、癒やした結果を見ていた人々の中に「あの男は悪霊の頭ベルゼブルの力で悪霊を追い出している」との難癖をつける者が出てまいります。しかしイエスはそのような人々を排除しようとはせず「神の国はあなたたちのところに来ているのだ」と語ります。侮辱に対して怒りではなく神の愛の勝利を説くことで、イエスは相手を赦しているのです。憤りや悲しみすら言葉にはできなかった人が喜び、祝福を分かちあう姿勢。それは「悪霊の力較べ」とは関係のない事柄です。
三月は新年度への備えも含めて新たなライフステージを整える時でもあります。さまざまな不安や不条理の中に立ちながらも、神の愛なる赦しに背中を押されて、新しい道へと進みましょう。みなさまに主なる神がともにおられますように祈ります。