2024年2月11日日曜日

降誕節第7主日礼拝を執り行えました

  おかげさまで降誕節第7主日礼拝を執り行えました。立春も過ぎ、紅白の梅が先週にも増して花咲く候となりました。
  

 聖書の箇所は『ヨハネによる福音書』6章にある「五つのパンと二匹の魚で五千人が満たされた」物語でした。当該福音書で際立つのはイエスが人々を座らせた場所には「草がたくさん生えていた」とあるところです。福音書の書き手が「草」と記すとき、それは『旧約聖書』『詩編』23編との関わりを際立たせるためだと云われます。確かに荒地を越えてオアシスや牧草地にたどり着いたときには、羊たちは存分に草を喰み、いのちの洗濯をしたことでしょう。

 さらにこの草が「青草」として解釈されるのであれば『創世記』2章の「天地創造物語」にある「地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草を食べさせよう」との言葉に重ねることもできます。すべてのいきものは青草を食べていたとの箇所は『旧約聖書』でも殺生を遠ざけるあり方こそ命のあるべき様子だとの理解に立っているとも言える実に興味深い箇所です。
 

 翻ってわたしたちの日常を顧みれば殺生どころか人間仲間の虐殺すら厭わない殺意と猜疑に世が覆われているとの報せばかり耳にします。茫然とするばかりのわたしたちにイエス・キリストはさまざまな譬えを用いて神の祝福の勝利を伝え、よき羊飼いに導かれた羊たちのような健やかさを備えてくれます。これもまた「神の平和」だといえます。

 それだけでなくその時代には人の数に入らなかったはずの人々を喜びで満たし、隣人に仕える道を備えました。

 今週の水曜日より教会は受難節を迎えます。キリストの味わった苦難のあゆみを思い出して祈る季節です。十字架での死と埋葬という現実を貫いて輝くいのちの希望がわたしたちとともにあります。病にあってもキリストにあって満たされる生きかたがわたしたちには備えられています。みなさまの新しい一週間に主なる神がともにおられますよう祈ります。