少しずつ秋の足音を遠くに聞く候 おかげさまで聖霊降臨節第16主日礼拝を献げることができました。日中の陽射しは強いながらも夜半には秋の深まりを感じます。
本日は「さまよう羊を追いかける羊飼い」と題し『マタイによる福音書』18章10〜14節をテキストにして礼拝を執り行いました。よく知られた「九十九匹の羊の群から離れた一匹の羊」を追いかける羊飼いの譬え話。現場で働く羊飼いと牧場の経営者の羊への関わり方の違いにも触れながら 第一次産業 とりわけ家畜とともに暮らす困難さを分かち合わずにはおれませんでした。
現在ではすべての国産鶏卵にロット番号が刻まれています。徹底した衛生管理が工場にも似た設備にて行われていますが かつては病に罹患した鶏が一羽でも出れば鶏舎ごと処分しなくてはなりませんでした。鶏の餌屋との関係や人件費 損害を含めた収支報告のなかで倒産する農家も少なくありませんでした。
そのような困難のなかで採算度外視で一匹の羊を追いかける羊飼い。その姿は真面目を通り越して滑稽であり 牧場の経営者に褒められようとも思っていません。
けれどもこの羊飼いはひたすら迷い出た一匹の羊を追いかけます。もしあなたがその羊だったらどうされるでしょうか。
組織に馴染めず商品価値すら失った羊を追い求める羊飼いに初代教会の人々は救い主イエス・キリストの姿を重ねました。十字架よりも早期の教会の象徴にはこの羊飼いを仰ぐ姿がありました。群から外れた羊たちは身を守る何の武装も武器も持ってはいません。
だからこそイエス・キリストは羊飼いとして新しい週もわたしたちを導いてくださると確信します。この羊飼いを全面的に信頼して九月最後の週を歩んでまいりましょう。みなさまに主なる神の祝福と平安がますます臨みますように。
*なお次週聖日礼拝では牧師出張により動画配信と礼拝中継は行いません。重ねてご容赦ください。