おかげさまで降誕節第1主日礼拝を献げることができました。はからずも2024年を締めくくる礼拝となりました。
『聖書』は『マタイによる福音書』で描かれる、父ヨセフが夢で天使のメッセージを聴いてヘロデ大王の追手から伴侶とみどり児イエスとともに間一髪エジプトへ逃れたとの箇所でした。
直後の福音書の書き手は無慈悲なヘロデ大王の所業を書き記します。則ち二歳以下の男子の虐殺です。一般的な神話や公文書では触れられない大事件に書き手は光をあて、神の前に隠し立てを赦されない人間の暗黒面を刻みます。ローマ・カトリック教会では「幼子殉教者」と記憶します。
さてエジプトに逃れたヨセフとその家族ですが、どのように生き延びたのでしょうか。ヨセフの住民登録はベツレヘムにあります。エジプトはローマ帝国の勢力圏ですが、風土も言語も異なります。ことばも異なるヨセフに身分証明書が発行されたわけでなし、家族を養うためにひたすら労役に励んだことでしょう。汗をかき心ない扱いを受けながらヨセフは堪えます。そしておそらくそのなかで「大工」としての職能を体得していったのかもしれません。
年の瀬を迎えました。わたしたちは互いに年末を感慨深く迎えられますが、孤独を感じながらの年越しも珍しくありません。そのような時こそヨセフの生き方、マリアの生き方、みどり児イエスの姿を思い出していただきたく願います。インマヌエル(神ともにいます)。これこそ何度も確かめるべきイエス・キリストの称号なのです。